2008年7月24日から2008年8月4日までの2週間、BTC 新潟センターにおいて、原子力発電運転管理会社STPニュークリア・オペレーティング・カンパニー (以下、STPNOC社) の訓練担当職員5名を対象に、改良型沸騰水型軽水炉 (ABWR) の設備知識および運転面への習熟を目的とする訓練プログラムが実施されました。
米国のサウステキサスプロジェクト原子力発電所 (<www.stpnoc.com>)では、ABWR を採用した3号機および4号機の増設が計画されています。
STPNOC社は、このSTP原子力発電所の1号機および2号機の運転管理(含む運転員訓練) を行っている会社です。このため、訓練は、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の6号機 (ABWR) を参照プラントとしている(< http://www.btc.co.jp/06_1.html>) BTC 5号シミュレータが用いられました。なお、STPNOC社は、3号機および4号機の建設・運転管理も担当しています。
今回の訓練生は、建設に携わる職員の教育・訓練を担当するインストラクタ要員でうち数名は他のサイトの訓練施設でインストラクタとして豊かな経験を持つ方々で、BWR原子力発電所の経験を有する方も含まれていました。
訓練の内容は、講義による設備知識の習得およびシミュレータによる運転面への習熟を、それぞれ1週間、合計 80 時間をかけて行いました。
訓練前半の講義は、ABWRプラントの系統全般に触れながら、ABWRの特徴であるヒューマンマシンインターフェース、プラント制御系にも焦点を置いて実施しました。従来型BWRの知識と経験が豊富な訓練生からは、従来型BWR とABWRの設計思想の違いなどについて突っ込んだ質問が多く寄せられました。
またシミュレータを用いた訓練では、プラントの起動/停止、事故時 (事象ベースおよび徴候ベース) の操作を体験することで、自動化による運転員の負荷軽減、プラント把握のための情報共有を向上させた操作盤の利点を実地に体験されました。
2週目には東京電力殿の柏崎刈羽原子力技能訓練センターを訪問し、改良型制御棒駆動機構(FMCRD)、原子炉再循環インターナルポンプ (RIP) などの取扱訓練を実プラントと同じように行える訓練施設を見学し、これらの設備知識を更に深めることができました。
また、隣接するビジターハウスではFMCRDの内部機構が動作する様子が分かる模型を見学し、「すばらしい」という感想が聞かれました。
本訓練を実施するにあたり、事前に講義を担当するBTCインストラクタの英語コミュニケーション能力向上、またシミュレータ操作盤表示の英語化なども行い、訓練生からは「訓練の目的は達成された」との感想をいただきました。しかし、更に訓練を効率的に進めるためのコメントもいくつか頂きました。今後もSTPNOC 社職員の訓練派遣が計画されていますので、これらのコメントを参考に効果の更なる向上に努めたいと考えています。